願海寺新聞 第40号 – 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺 浄土真宗本願寺派 新井山 願海寺

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願海寺新聞 第40号

発行:2017年2月

「わがもの」なんて一つもない。すべてはただ因縁によって自分へ来た。そしてしばらく預かっているだけである。だからどんなものも大切にし粗末にしてはならぬ。

こんにちは!先日、拙寺にあるお客様がいらっしゃいました。お話を伺っていると、仏教、他宗のご信者の方で、「浄土真宗は邪宗教で、あなたはそれを広めているから地獄に落ちる」とおっしゃいました。
仏教にたくさんの教え(経典)があるのは、お釈迦さまがあいての資質・環境に応じた教えを説かれたからです。そして、その多種多様な教えに共通しているのは「善(正しい)」「悪(間違っている)」というはからい(執着)は苦しみの原因であるから捨てていく努力をしなさいということです。ですから、自分にあった教え(道)を歩めば良いのであって、法然聖人も親鸞聖人も「他の教えを歩む人をそしってはならない」とおっしゃっています。でも私はその方と出会えて、より「南無阿弥陀仏」のありがたさに気付かせて頂くことができました。そう思うと、仏様が私に「気付き」を下さりに来て下さったんでしょうね。なんとありがたいことでしょう♪ なまんだぶつ なまんだぶつ。合掌。弦

願海寺あれこれ

昭和20年(1945年)8月1日深夜の富山大空襲によって焼失した願海寺旧本堂ですが、戦後復興の都市計画で願海寺境内地だった900坪のうち300坪(3分の1)は供出となり、そこに現在の平和通り(西町から立山町方面へ続く願海寺前の道路)が出きました。そして、たくさんの御方のご苦労がありましたおかげで昭和37年(1962年)に現在の本堂が再建となります。戦災から17年、戦後の復興の中からの再建ということで、並々ならぬ大変な事業であったであろうと思い知らされるしだいであります。
その現本堂は北向きで再建されました。戦災前の旧本堂はいたち川に向かって西向きに建っていましたが、平和通りへの境内地の供出があったため立地も変える必要があったのでしょう。現本堂は再建から55年と建物自体は新しいですが、そこには数え切れない多くの御先人の思いが詰まっています。その御恩にしっかり報いていけるよう、「念仏道場」として1人でも多くの方と共に仏様の教えを喜び、また弘めていける寺院作りに取り込まねばと強く念じております。

Q『四苦八苦ってなあに?』

「四苦八苦(しくはっく)」とは「生・老・病・死(しょう・ろう・びょう・し)」という人間の根源的な苦しみに、「愛別離苦(あいべつりく)」「怨憎会苦(おんぞうえく)」「求不得苦(ぐふとっく)」「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」を加えたものをいいます。この中で「愛別離苦(愛しい人とも必ず別れていかねばならない苦しみ)」は身を引き裂かれるほどの心の痛みです。
私は父を突然の火事で亡くしました。まだまだ話したいこともたくさんありましたが、全て煙となり叶わぬ思いとなりました。焼け跡に立ったときの呆然とした気持ちは一生忘れないでしょう。去年11月にも東京の公園で5歳の男の子が火災で亡くなるという悲しい事故が起きました。同じ5歳の子を持つ親として、同じ火災で乳を亡くした者として、TVニュースでのその模様はとても直視することができませんでした。親御さまのご心中を思うと本当に苦しくてたまりません。お釈迦さまは、愛しい人とも必ず別れていかねばならない苦しみについてこう説かれています。「人は世間の情にとらわれて生活しているが、結局独りで生れて独りで死に、独りで来て独りで去るのである。」(『仏説無量寿経』)
「生れたものどもは、死を遁(のが)れる道がない。泣き悲しんでいては、心の安らぎは得られない。ただかれにはますます苦しみが生じ、身体がやつれるだけである。ひとびとがいろいろと考えてみても、結果は意図とは異なったものとなる。だから〈尊敬さるべき人〉の教えを聞いて、人が死んで亡くなったのを見ては、「かれはもうわたしの力の及ばぬものなのだ」とさとって、嘆き悲しみを去れ。」(『スタッパータ』574~590より抜粋)
非常に厳しいお言葉ではありますが、これが真理です。そして、お釈迦さまは突き放そうとしておっしゃっているわけではなく、だから「自らの浄土往生(じょうどおうじょう)を願え」と説いて下さっています。なぜなら、「私」がこの世での命を終えたときに、お浄土に往かせて頂ければ、悲しく別れた愛しい人ともまた仏として合えるのです。作り話だと笑う人もいるでしょう。でもその物語に心を委ねられてこそ、まっくらな人生の中に明るい光が射し、私の歩んでいく道が拓(ひら)かれるのです。
お念仏を称え、阿弥陀如来(あみだにょらい)からの光に照らされながら、頑張ってこの命を生き抜きましょう!
なもあみだぶつ♪

僧侶似顔絵
村上 巧弦
願海寺新聞